月収100万円の世界 手取りはいくら?
もし、月収が100万円だったら…。筆者の月収のおよそ4倍です(そこ、こっそり計算しない!)。手取りはいくらでしょうか。税金、いくら持って行かれるのでしょうか。
何となく面白そうなので、試算してみました。
【目次】この記事には、こんなことが書かれています。
5月、給与明細から垣間見える社会の仕組みを特集しました。
第1回:今、学んでおきたい基礎のキソ(1) 給与明細、開いてみました? - "お金の『基礎演習』"~20代FPが大阪から発信!20代のお金の教養講座~
第2回:今、学んでおきたい基礎のキソ(2) 社会保険料、なんで納めるの? - "お金の『基礎演習』"~20代FPが大阪から発信!20代のお金の教養講座~
第3回:今、学んでおきたい基礎のキソ(3) 給与から引かれる税金って - "お金の『基礎演習』"~20代FPが大阪から発信!20代のお金の教養講座~
その資料を準備しながら、「あり得ない条件で給与計算してみよう」と思い立ったので、計算してみました。ただそれだけの企画です。
支給:月収100万円を解剖してみる
今回は、月収100万円というキーワードで、話を進めていきます。
まずは、この月収100万円を解剖してみましょう。
時給換算して、時間外割増(いわゆる残業代)も求めてみます。
前提条件として、以下を追加します。
・月収100万円はすべて基本給とし、残業代は含まない
・1日8時間×週5日=週40時間勤務
・年間の就業日数は240日で、月平均20日
この『前提条件』があるおかげで、時給換算ができるようになります。
なお、今からする計算は、労働基準法上の『最低賃金』を満たしているか確認する方法となりますので、自分の給料が少ない、もしかして…と思うあなた、参考にしてみてはいかがでしょうか。
1)まずは、1ヶ月の平均労働時間を求めてみます。
1日8時間で、勤務日は月平均20日ですから、
- 8(時間)×20(日)=160(時間)
となります。
2)次に、月給100万円を時給計算しましょう
- 1,000,000(円)÷160(時間)=6,250(円)
はい、大阪府の最低賃金(令和元年10月1日改定)が、964円ですので、約6.5倍です。
仕事を時間給で比較するのはあまり好きではありませんが、1時間で6,250円の価値を持つ仕事って、一体何なんでしょうね…
【参考】上記式を最低賃金の計算に使う場合1)の平均労働時間=本文記載の通り、1日の所定労働時間×1ヶ月の平均勤務日数2)は、月給のうち以下の諸手当を除いた金額
(1. 精皆勤手当、通勤手当、家族手当 2. 一か月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナスなど) 3. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など) 4. 時間外・深夜労働及び休日労働に対する賃金)
を用いて計算してみてください。
3)残業した場合
この条件で、かりに1日8時間を超えて労働した時間があったとします。
その場合、時間外割増として25%以上の割増賃金を支払う必要があります。
- 6,250(円)×1.25(倍)=7,813(円)
※計算すると1円未満の小数が生じますが、切り捨ててしまうと倍率を満たさなくなるので、切り上げとしています。
4)深夜勤務をした場合
深夜(22時~翌5時)勤務をした場合、それが所定の労働時間内(夜勤など)の場合は、3の残業と同じ25%以上の割増となります。一方で、所定の労働時間を超えてさらに深夜時間帯の勤務の場合は、50%以上の割増賃金を支払うことになります。(計算は省略しますね)
控除:100万円の月給にかかる社会保険料、税金は
次に、100万円の給与にかかる社会保険料、税金を調べてみましょう
1)社会保険料
社会保険料の計算は、ある一月の給与額で決まるわけではありません。そのため、「直近1年間、給与に変動がない」ものとして、検討します。
大企業などの健保組合では、それぞれが独自の保険料計算をしています。ここではわかりやすく、「協会けんぽ」の大阪府の社会保険料率で算出してみます。
社会保険料率は、全国健康保険協会のホームページにまとめられています。
令和2年度保険料額表(令和2年4月分から) | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
給与計算担当者向けのページという前提にはしておりませんので、表の見方は省略させてください。
この表によると、給与が100万円の時、
となります。思ったほど多くない…でしょうか。
ちなみにこれは給与から天引きされる金額ですので、それぞれとほぼ同額を会社(給与支払者)も負担します。
さらに、雇用保険料もかかります。こちらは総支給額の3/1,000です。
- 1,000,000(円)×0.003 =3,000(円)
こちら、雇用保険料は事業主負担が6/1,000のため、会社は6,000円の負担です。
というわけで、100万円の給与にかかる社会保険料は
- 50,078(円)+56,730(円)+3,000(円)=109,808(円)
2)税金(所得税)
所得税は先日ご紹介したように(こちら)、毎月の給与から一定額を納め、年末に精算する方式、住民税は前年の収入に基づき計算される方式となります。
ここでは、所得税について考えてみます。
所得税の計算は、以下の式によってキソとなる額を求めることから始まります。
- 1,000,000(円)-109,808(円)=890,192(円)
上記で求めた基礎となる金額を、『源泉徴収税額表』という計算表に当てはめて計算します。(こちらも、計算方法は省略しますね)
- 源泉徴収税額:107,436円
【まとめ】月収100万円の給与明細
【支給】 |
|
1,000,000 |
【控除】 |
健康保険料 |
50,078 |
厚生年金保険料 |
56,730 |
|
雇用保険料 |
3,000 |
|
源泉所得税 |
107,436 |
|
【差引支給額】 |
782,756 |
はい、こんな感じです。手取りは結構減りますね。
我々の安月給だと、社会保険や源泉所得税が結構負担感ありますが、当然収入が増えれば、負担は増えるようになっていますが…元々が多いので、3割引かれても、まだまだ余裕ですね。
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