2020/05/28 「10万円」を寄付させる自治体は来年苦しむ
昨日(2020/05/27)の朝日新聞に「全職員から10万円寄付前提でコロナ予算」なる記事を見かけました。これと同じ方針を打ち出したらかなり批判をうけたところもあったのに…
「この方法、今年はいいかもしれないけど来年困るよな…」という感想を抱きました。なぜなのか、解説します。
【目次】この記事には、こんなことが書かれています。
「全職員から10万円寄付前提でコロナ予算」
全職員から10万円寄付前提でコロナ予算 兵庫・加西市 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル
こちらの記事によれば、兵庫県のある自治体では、新型コロナウイルス対策の予算を組む際に、「正規の全職員(約600名)全員から10万円ずつ寄付を受ける」前提で予算を組んでいたことがわかったそうです。
10万円といえば、、、国の「特別定額給付金」と同額です。要はこの「特別定額給付金」を間接的に市の財源にしてしまおう、という考え方のようです。
あくまで任意協力の形式のようですが、「全職員から10万円ずつ寄付を受ける」前提で予算が組まれたり、記事には「期末手当(民間のボーナスに相当)から天引きする方法で」寄付を募るとあることから、実質は強制的に寄付させる仕組みともいえます。
半ば強制的に寄付させる手法には問題があるでしょう。とはいえ外出自粛の世の中でも誰かを応援できる方法のひとつが「寄付」だと思うので、「寄付を募る」こと自体は悪い取り組みではないと考えています。
市町村への寄付は税制面で優遇される
ここで、この手法をとった場合に起こることを考えてみましょう。
市民が市町村へ寄付をする…実は、割と身近な行動なのです。
「ふるさと納税」あなたも一度はしたことがあるのではないでしょうか。
自分で選んだ市町村に寄付することで、地場産品などの返礼品を受けられるだけでなく、翌年の確定申告で所得税が戻ってきたり、住民税が減額になったりするのです。
返礼品の伴う「ふるさと納税」に限らず、地方公共団体に寄付をした場合は「ふるさと納税」と同じ税制上の措置を受けられます。
総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について
今年(2020年/令和2年)に寄付をした場合、住民税(都道府県民税と市町村民税)におけるこの寄付の効果は来年(2021年/令和3年)に現れます。
先に紹介した町で、全職員が10万円ずつ寄付し、適切に申告をおこなうと…翌年、つまり来年、その町の職員さんはみな住民税の減税となるのです。
ここで主語を、「その町」に変えてみましょう。職員が払う税金が減るということは、町にすれば入ってくる税金が減ってしまうということです。
確かにこのコロナ禍を乗り切るための財源確保も大切ですが、コロナ禍が去っても行政は継続してその機能を果たさなければなりません。その上で、この減収は痛手になるのかもしれません。
これが、「来年苦しむ」の意味でございます。
筆者はそれを利用します
筆者はおかげさまで現状資金繰りに困ることもなく、のんびりと自粛生活をしております。
大阪府はおかげさまで現状、入院病棟にも余裕があるそうで通天閣や太陽の塔が緑色に光っております(→大阪モデル)。3月、4月から今まで、医療機関で働く方は風評被害のような心ない言動も有りながら、少ない物資をなんとかやりくりしながら、頑張ってこられたおかげで今、私は(自粛をしながら)安心して通勤し働くことができているのではないかと思います。そんな人たちへのささやかな応援の気持ちを込めて、「大阪府新型コロナウイルス助け合い基金」へ10万円を寄付いたしました。
こちらの寄付は先に述べたように、「寄付金控除」の対象なので、来年6月からの住民税負担が軽減になります。筆者のようなサラリーマンの場合は、毎月の手取りが寄付しなかった場合に比べて増えますので、その増えた分を、きっと落ち着いているであろう来年、思いっきり好きなことに使って経済を回したいと思っています。
現場からは以上です。
◇人気ブログランキングに参加しています◇
読んでいただいて「面白い!」「参考になった!」と思ったら、
こちらのバナーをクリック!