今、学んでおきたい基礎のキソ(3) 給与から引かれる税金って
"ステイホーム"な今、社会人なら知っておきたい『お金のキホン』を勉強してみませんか。前々回(こちら)からシリーズで、初任給から始めるお金との付き合い方をご紹介していきます。
【目次】この記事には、こんなことが書かれています。
今回は、「税金」です。
先日、5月3日は憲法記念日でした。1947(昭和22)年5月3日に今の日本国憲法が施行されたことから祝日として制定されています。
さて、日本国憲法に定められる、国民の三大義務と、三つの権利、覚えていますか?
・三大義務
「教育の義務(日本国憲法26条2項)」
「勤労の義務(日本国憲法27条1項)」
・三つの権利
「生存権(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)」
「教育を受ける権利」
「参政権(政治に参加する権利)」
今回は、給与から天引きされる税金について解説していくわけですが、「働いて収入を得、その中から納税する」というのは、まさしく「勤労の義務」「納税の義務」に応えているわけですね。ちなみに、会社も利益を生み出すと「法人税」という形で利益の一定割合を納税します。
「なぜ労働の対価(=給与)に税金がかかるのですか?」
ここまでの文章をまとめながら、この問いに答えられないか考えていました。
今のところの答えは、
「あなたが仕事をして収入を得たり、会社が事業活動で利益を得たら、その一部を国に納めて(=納税)、自分や会社のためではなく社会のために使いましょう」という考えのもと、所得税や法人税が生まれたー。でしょうか。
閑話休題。余談はさておき…
給与から天引きされる税金は、国税である「所得税」、地方税である「住民税(都道府県民税・市町村民税)」に大別されます。
1.所得税(国税)
毎年1月1日から12月31日までの1年間で得た収入に対してかかる税金が、所得税です。
給料を毎月もらう会社員の場合は、毎月の給与から決められた金額をひとまず納め、12月の給料で1年間の収入が確定するタイミングで、年末調整という儀式を経て、年間の税額を確定させて精算します。
(1)毎月の給与では…
収入に税金がかかるといっても、そのすべてにかかるわけではありません。
①見本の給与明細の場合は、「基本給」「時間外手当」「住居手当」に対して課税されます。通勤にかかる費用のうち、一定額までは課税されません。(収入ではなく、働くのにかかる費用だからです)
(参照)興味があれば、こちらで確認を
②社会保険料は、課税対象外になっています。(「社会保険料控除」といいます)
③ ①の収入から②の社会保険料を引いた額が、税金を決める上での基準となる金額(課税標準額)となります。
ここまでの計算を図解すると、こんな感じ↓。
④ ③で求めた課税標準額を、「源泉徴収税額表」という表に当てはめて、その月の給与から差し引く額を決めます。
(2)年末になったら・・・
①~④の計算を毎月の給与の中で行い、12月の給与の時には、1年分の税額を計算、過不足を精算して1年分の所得税を納めたことになります。
※下線部を年末調整といいます。年末調整については、過去の記事になりますが、以下の記事を参照してください。
以上、ざっくりとした所得税の説明書です。
個人事業主(いわゆるフリーランス)の方、副業収入のある方など、全員がこの通りではないのですが、まずは基本を知っておけば損はないでしょう。
2.住民税(地方税;都道府県民税、市町村民税)
次にご紹介するのは、地方税である住民税(都道府県民税、市町村民税)です。
こちらも、所得税と同様に毎月の給与から一定額を天引きされ、雇い主があなたに替わって納付する仕組みとなっています。
しかし、所得税とは課税方式が少々異なります。
・所得税と異なる点
所得税は、当年の収入に対する税金を自分で計算し納付します。(実際の計算は、会社勤めの方は会社がしてくれますが)一方、住民税は前年の収入を元に市町村で計算し、その計算に従って納めていきます。
つまり・・・(今年=2020年、去年=2019年 として読んでください)
・所得税
2020年1月の給与から前述の計算にそって、少しずつ納税していき、2020年12月に会社が年末調整をするか、2021年初頭にあなたが確定申告をするかして、2020年分の納税が完了します。
・住民税
2019年1月~2019年12月の収入を元に(所得税の情報が、税務署からお住まいの市町村に通知されます)、市町村が税額を計算して税額がおつとめの会社に通知されます。
2020年6月分の給与から、2021年5月分の給与の計12回に分けて、2019年分の住民税を納めていきます。
もうまもなくすると、会社の人事担当の方からあなた宛に、こちらの画像のような小さな紙が届きます。
これが、「住民税(都道府県民税・市町村民税)決定通知書」です。こちらには、(今年2020年の場合)2019年分の収入とそこから算出される税額、毎月の給与から天引き・納付される税額がわかります。
2年目に手取りが減る!?
今年から社会人になったあなた、社会人2年目になったあなた…
「2年目は手取りが減るから気ぃつけやー」と言われたことはありませんか?
これはどういったことか。ここまでの説明でひょっとしたらおわかりいただけたかもしれません。
・住民税の課税方式に注目
先にご説明したとおり、住民税は前年の収入に基づいて翌年からの税額が決まります。
学校を卒業し就職した場合、1年目の前年つまり就職する前の年は学生ですね。アルバイトをしていた方も多いかと思いますが、住民税が課税されるほどのアルバイト収入を得ている学生はそれほど多くないはずです。従って、社会人1年目には住民税を課税されることはごくまれです。
一方、2年目になると、前年4月(入社)~12月にかけて、1年目の収入が税計算に反映されます。それが2年目の6月から課税が始まるため、手取りが減少するというからくりです。
社会人1年目から2年目にかけては、急激に昇給が行われる訳ではありません。とすると、住民税を課税されていないときの手取り収入で生活を回している場合、住民税の課税が始まることを念頭に、生活費の見直しも必要かもしれません。
まとめ
以上、「給与明細をひもとく」シリーズでした。コロナ禍で先行きが読めないところはありますが、『給与から社会保険料、税金を引かれて手取りが入金になる』このキホンはおそらく変わらないことでしょう。社会人2年目の方はまもなく住民税の納税が始まります。
就職し、自分の稼ぎで生計を立てていく。その上で押さえておかなければならないのは、社会の仕組みとりわけお金にまつわる部分を自分で学んでいくことです。インターネットでも簡単に情報を取り入れられるようになった世の中です。積極的に情報を得て、賢い消費者になることをお勧めします。
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