"お金の『基礎演習』"~20代FPが大阪から発信!20代のお金の教養講座~

大阪のファイナンシャルプランナー(AFP)、うえまっつんによるブログ。主に20代に向けた『お金の教養講座』『関西発!賢く暮らす知恵袋』を展開する傍ら、日々の暮らしを書いている。

年次有給休暇の時季指定~会社が勝手に決めるってこと??~

お金の『基礎演習』

今日は、在宅勤務のお供に、ZOOM上の”教室"で行っている大学のゼミ(卒論執筆のための研究をするグループ授業)を見学させていただきました。

もちろん、『お供』ですよ。『使用者(管理職・会社)の指揮命令は聞くことができる』状態だったので、サボりではない!

さて、その中で「年次有給休暇の取得義務化」が話題になったため、筆者なりに整理してみました。

(ぼやき)この記事を執筆している裏で、安倍首相が記者会見をしていますが、ちょっと下手すぎやしませんか。「やってる感」だけ醸してもなあ…心から国民を想って、しゃべってみてほしい…

【目次】この記事には、こんなことが書かれています。

働き方改革における「有休取得義務化」

www.mhlw.go.jpこれを読んで!といってしまえばこれまでですが、せっかくですので解説をしていきます。

(そもそも)有給休暇とは

週休日とは別に一定のに日数、賃金を保障した休暇をとる権利をもうけ、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図る。ゆとりある生活のために有給で仕事を休める日をもうける、といった意味合いの制度です。

雇い入れ(入社)後6ヶ月継続勤務したごとに、出勤率を満たしていれば発生します。
その後は、継続勤務年数1年ごとに、直近1年の出勤率を満たしていれば発生します。

この有給休暇の権利は、条件を満たせば自然に発生するといわれています。
働く我々は、「いつ取得するか」を指定することで、権利を行使できます。

・権利の発生

 この権利が発生するために、法律で定められているルールは以下の通り

  • 雇い入れ(入社)の日から6ヶ月以上継続勤務
  • 全労働日の8割以上出勤

企業によっては、入社した日から付与されることもありますが、法律はあくまで最低基準を定めているので、それ以上の福利厚生制度としての有給制度は認められます。

出勤率を計算するに当たって、「仕事上の怪我で会社を休んだ期間、育児・介護休期間、産前産後の休業期間、有給休暇を取得した日」は仕事をしていませんが、出勤したものとしてカウントされます。

なお、いわゆるフルタイムの労働者以外でも、パートタイム、アルバイトなど働き方にかかわらず(働く時間により付与日数が異なりますが…)、権利は認められます。

・権利の行使

有給休暇に関して、使用者(会社・事業主)には以下の権利が存在します。

①時季指定権

「使用者は、年次有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない」

有給休暇は、先に述べたように、「自然発生」する権利ですので、使用者には、「いつ与えるか」を指定する権利があるということです。

 有給休暇は、会社に「申請」を出して、「承認」を受ける仕組みとなっていますが、「承認」をもって有給休暇が成立するのではありません。これは、「いつ取得するか」に対する申請と承認と考えられます。

従業員「5月15日に有給休暇を取得します」

会 社「わかりました、5月15日を有給休暇とします」

時季変更権

「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、使用者は、他の時季にこれを与えることができる

 有給休暇を取ってしまうことで、会社の事業が回らなくなってしまっては困ります。そのため、使用者側には、『その日はやめてくれへんか』という権利は認められています。

つまり、有給休暇を付与されている日数の範囲内では、「使用者が有給休暇を拒否すること」はできないということです。これは覚えておきましょう。

従業員「5月15日に有給休暇を取得します」

会 社「5月15日は大きな仕事があるから、18日にできませんか」

従業員「わかりました、18日でお願いします」

*例外:一斉付与(計画年休)

基本的には労働者が申し出ることで使用できるのが、年次有給休暇です。

例外的に労使協定を結ぶことで、使用者が定めた日に有給休暇を与えることができます。例えば、会社の創立記念日を全社員有給休暇扱いにし、有休取得を推進するといった使い方です。

この場合、従業員に付与された有給休暇のうち5日は、従業員が自由に使えるよう、計画年休の対象にできません。

・運用の問題点

 有給休暇は制度としてもうけられているにもかかわらず、日本では有給休暇の取得があまり進まないようです。原因としては、【業務が多すぎて有給を取得している暇がない。】【上司がとらないので部下がとりにくい】【体調を崩したときや家族に何かあったときのために取っておく】といった原因があるようです。

www.dodadsj.com

・義務化で何が変わったのか

前述の通り、日本は有給休暇の活用が非常にできていない!というわけで、昨今の「働き方改革」のなかで、「年次有給休暇の確実な取得」が定められました。

どういった仕組みか、説明します。

1)対象

有給休暇の日数が10日以上ある従業員

2)取り組み

基準日(主に、毎年、有給を付与する基準になる日)から1年の間に、付与された有給休暇日数のうち5日を、労働者ごとに時季を定めて与える。

条文通りにまとめると前述の通りとなります。

実務上の動きは以下の通りです。

  1. 従業員に対して、使用者が時季の希望を聞く。
  2. 希望を尊重し、有給休暇を付与する日を指定する。

 『使用者側から希望を聞く」というのがポイントでしょうか。

これまでは、「労働者(従業員)の申し出」から始まるとしていたので、会社側から「いつ取りましょうか」と聞いて、その希望を尊重して休暇を与えるという点が新しいといえます。

先に述べた、「一斉付与(計画年休)」に当たる日や、従業員からの申し出で発生した有給日数はこの「5日」から差し引かれます。

 

専門的には、「年次有給休暇の時季指定」というタイトルになっているので、「年間5日、会社が勝手に有給を指定して休むことになる」と思われる方もいたことでしょう。

実際のところは、あくまで「労働者の申し出」がベースになっていることには変わりありません。完全に労働者任せになっていた、「有給休暇の取得」を、会社が主導して進めていきましょう、という制度です。

 

この制度は、2019年4月から、会社の規模にかかわらず始まっています。

中小企業も2019年4月からです。

 

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